<2019年度開講>英語N 第5回
第5回講義の内容のうち準動詞関連のものの積み残しは前回のページを確認してください。今回は、wh節、特に関係詞について確認していきます。
・関係詞(wh修飾)のポイント
関係詞で重要なことは前から読んでいくことです。一見、当たり前のことのようですが、日本人は英文を後ろまで読み、それから前に戻って〜のように読みがちです。このような読み方では英文の内容を素早く正確につかむことはできません。先行詞(関係詞節によって説明される名詞)がどんなものなか?を、wh節が説明していく形になっているので、前からすんなりと読めるようにしましょう。前回の講義でも説明した通り、関係詞(wh修飾)は関係代名詞の場合も、関係副詞の場合も基本的には、形容詞節(名詞を修飾)を作ります。
・関係詞(wh修飾)読解のイメージ
先行詞(名詞)→「どんな?」→wh節以降が説明
e.g.)The girl who I wanted to date is now going out with my best friend.
The girl(女の子)→「どんな?」→who I wanted to date「私が付き合いたかった」このように、英文を前から読んでいき「どんな?」というツッコミを入れてwh節に入っていくイメージです。この英文の訳は「私が付き合いたかった女の子は、今は私の親友と付き合っている。」となります。親友に恋愛相談をしていたら、いつのまにか取られていたというパターンですかね、悲しいですね。
・関係詞(wh修飾)の原理
関係詞読解の最重要ポイント=「穴埋め関係」
関係詞の理解に欠かせないのが「穴埋め関係」を理解することです。wh節で先行詞(名詞)を修飾する場合、wh節の中のどこかに「穴」が空きます。それは、もともとwh節の中にあった語が前に節の頭に移動しているためです。正確に関係詞を読解するためには、wh節の中の「穴」を考え、その「穴」を埋めるとどうなるか?ということを考える必要があります。この時の「穴」によって関係代名詞の主格・目的格・所有格、関係副詞のどれを使用するのかが決定します。この「穴埋め関係」は何も英語だけに特殊なのではなく、日本語でも無意識のうちにやっていることなんですよ。例文を見て考えてみてください。
日本語:「私が昨日買った本」
英語:「the book which I bought yesterday」
日本語では、「私が昨日(本を)買った〜」と修飾される本という語が穴になっています。一方で、英語でも「which I bought(the book=it)yesterday」と先行詞であるthe book(it)が目的語の位置で穴になっていますよね。このように、関係詞では「穴埋め関係」を理解することが重要になってくるのです。
★読解の上での注意点
①先行詞は何か?→直前とは限らない
e.g.) I saw a man in the park who was reading a magazine.「私は公園で雑誌を読んでいる男性を見た。」→先行詞は a man
②関係詞の節の範囲を考える→カッコでくくる
e.g.) Who is the woman (you were talking to) when I saw you this morning?「私が今朝あなたを見た時に、あなたが話しかけていた女性は誰ですか?」→you were talking toが節の範囲
③wh節の中の欠落(穴埋め関係)を考える→穴を埋めた形をイメージする
e.g.) He is the person whom I want to come.「彼は私が来て欲しい人だ。」→この英文における穴は、whom I want the person (him) to comeとなり、want+O+to do「Oに〜して欲しい」というカタチが見えてくる。
・関係代名詞の格
e.g.) He is the student who came from America.「彼はアメリカ出身の生徒です。」→穴埋め関係は、who the student (he) came from Americaとなり、主語の位置に穴が空いている=主格の関係代名詞
e.g.) She is the singer whom I like very much.「彼女は私がとても好きな歌手です。」→穴埋め関係は、whom I like the singer (her) very muchとなり、目的語の位置に穴が空いている=目的格の関係代名詞
e.g.) I saw a girl whose hair is long.「私は髪の長い女の子を見た。」→穴埋め関係は、whose a girl’s hair (her) hair is longとなり、所有格の位置に穴が空いている=所有格の関係代名詞
以上のように、代名詞の穴埋め関係で名詞を修飾しているので、このようなwh修飾を「関係代名詞」と言う。
★用いる関係代名詞
先行詞がヒト→who 先行詞がモノ→which 所有格の場合はヒトでもモノでもwhoseを用いる。また先行詞がヒトで目的格の場合、whomを用いることがあるが、これは古い用法で、現代英語ではwhoを用いるのが一般的。ただし、後述する前置詞+関係代名詞のカタチで、ヒト先行詞かつ目的格の場合は、前置詞+whomを用いる。(目的格で前置詞+whoは用いない。)
・関係代名詞のthat
関係代名詞のwho(m)やwhichの代わりに、thatを用いることが可能です。ただし、所有格のwhose、前置詞+関係代名詞、非制限用法の場合はthatは使用不可ということに注意しましょう。また、関係代名詞のthatを用いるのが好まれる場合というのもあります。それが、①先行詞が限定度合いの強い語(very / only / all / 序数 / 最上級 等)を含む場合、②先行詞がヒト+モノの場合、③先行詞がwhoの場合です。例文も含めて確認しておいてください。
・関係代名詞のwhat
関係代名詞のwhatは先行詞不要で、名詞節を作る(S・O・C)になることを理解しておきましょう。また、whatが疑問詞(いわゆる間接疑問文)なのか、関係代名詞なのかという識別がありますが、正直なところ、この区別はあまり重要なことではありません。例文を見てください。
e.g.) I don’t know what you said.
e.g.) I will tell you what he said.
上の文のwhatを疑問詞でとって、「あなたが何を言ったのか」と考えることも、関係詞代名詞でとって、「あなたが言ったこと」と考えることもできます。また、下の文でも同様です。つまり、どちらで考えることもできるというわけです。さしあたり、「疑問・不確定要素」を含む文の場合、疑問詞で訳し、そうでない場合は関係代名詞で訳すと考えておくのが良いと思います。上の例文でいうと、上は疑問詞で訳し、下は関係代名詞で訳すことになります。
・連鎖関係代名詞
名前はいかついですが、大したことはありません。連鎖関係代名詞とは関係詞の直後に、S+Vが挿入されたカタチのものです。Vには、thinkやbelieve、say、tellなど、「思考・認知・告示」を表す動詞がきます。例文を確認しましょう。
e.g.) A person who I thought was my friend deceived me.「私が友人だと思っていた人が私を裏切った。」→whoの後ろの、I thoughtを挿入だと考えて処理すると、who 〜 was my friendと文の骨格が見えてきますね。この連鎖関係代名詞は、並び替え問題での出題率が特に高いので注意しましょう。
・前置詞+関係代名詞
e.g.) My mother works at the hospital.「私の母親はその病院で働いている。」
この英文を、the hospital を先行詞とする関係代名詞の文に書き換えてみましょう。すると、This is the hospital which my mother works at. となりますよね。この文自体は、文法的に間違ってはいません。しかし、もともとの穴埋め関係を考えてみると、atとthe hospitalが離れていて、最後にぽつーんとatがあるのは少し違和感がします。そこで、atを関係代名詞の前に出し、the hospital at which my mother worksとするのが、前置詞+関係代名詞の正体です。また、前置詞+関係代名詞は、I need a knife with which to cut this cake. のように、前置詞+関係代名詞+to不定詞のカタチで用いることもあるので注意しましょう。尚、look for〜「〜を探す」のようなイディオムの一部の場合、前置詞の前置きはしません。例えば、This is the book which I’ve been looking for. という文では、for which〜のカタチにすることはできません。なぜなら、ここでのforはlookという動詞と結びついているのであり、the bookという名詞と結びついているわけではないからです。このように、前置詞と後ろに続く名詞の結びつきにより、前置詞+関係代名詞のカタチはできあがるのです。さらに、前置詞+関係代名詞は後述する関係副詞との関係性も深いのでしっかりとマスターしておきましょう。
・関係副詞
関係副詞も関係代名詞と同じく、形容詞節をつくり名詞を修飾します。関係「副詞」という名前からも分かる通り、副詞の穴埋め関係で名詞を修飾するのが関係副詞です。関係代名詞でも関係副詞でも、穴埋め関係をしっかり考えることが重要というわけですね。基本的に、関係副詞のwh節では、前置詞+名詞の副詞句が穴となります。例文を見てみましょう。
e.g.) This is the house where he was born.「これは彼が生まれた家だ。」
この例文で穴埋め関係を考えてみると、where he was born (in the house) となり、「その家で」という副詞句の位置に穴が空いています。このような場合のwh節を「関係副詞」と言います。また、上の例文は、前置詞+関係代名詞を使って the house in which he was bornとすることも可能です。前置詞+関係代名詞と関係副詞は、親戚のようなものですね。
★関係代名詞を用いるのか、関係副詞を用いるのか
先行詞が「場所」ならwhere!「時」ならwhen!と思考停止で丸暗記してしまうと、大きなミスを犯してしまいます。関係代名詞を用いるのか、関係副詞を用いるのかは何度も説明してきた通り、穴埋め関係で決定することです。例文を見てください。
e.g.) This is the city which I’ve wanted to visit.
e.g.) This is the city where I’ve wanted to live.
上の文の穴埋め関係は、which I’ve wanted to visit (the city)となり、Oの位置に穴が空いているため、関係代名詞whichを用います。一方で、下の文の穴埋め関係は、where I’ve wanted to live (in the city) となり、副詞句の位置に穴が空いているため、関係副詞whereを用います。このように、同じ「場所」を表す、the cityという先行詞でも、常に関係副詞whereを用いることができるとは限らないということです。必ず、穴埋め関係を考えましょう。尚、下の文は、This is the city in which I’ve wanted to live. と、前置詞+関係代名詞のカタチにすることはできます。以上が、関係副詞の原理です。しっかりと確認しておきましょう。
★雑談的ひとこと
関係詞(wh節)において、先行詞を、a+名詞〜とするのか、the+名詞〜にするのかは悩ましい問題です。the+名詞〜の場合のイメージは、関係詞(wh節)で修飾することによって、その名詞がある特定のひとつに定まるというような感じです。漠然と言われたらわからないけど、関係詞(wh節)での修飾で限定されたことで、話し手も聴き手も、「あー!あれね。」となるような感覚です。ですから、先行詞は常にthe+名詞〜になるのかというとそうではなく、ケースバイケースということですね。
以上で、前回講義分の復習は終了です。次回は、関係副詞のもう少し詳しい説明から入っていきます。テキストの該当箇所を通読し、不安がある事項は文法書等で確認しておいてください。また、講義を聞いて、復習をし理解することはとても重要ですが、それだけでなく、語学習得には量的学習も不可欠です。講義で説明された該当箇所の問題を解いたり、文法書で例文を見たり等、必ず各自で追加学習も行うようにしてください。何か質問があれば、講師室でお待ちしております。それでは、引き続き頑張っていきましょう!
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