ハイレベル英文読解⑥

今回は準動詞の続きで分詞の説明からです。分詞(現在分詞Ving / 過去分詞Vp.p.)は、①形容詞句を作る用法、②副詞句を作る用法(分詞構文)があります。まず、現在分詞(Ving)と過去分詞(Vp.p.)の使い分けについてですが、修飾される語に対して、S→V関係であれば現在分詞(Ving)を、V→O関係であれば過去分詞(Vp.p.)を用います。例えば、I know the girl walking along the street. という文では、the girl と walkの関係性は、the girl walks というS→V関係になっているので現在分詞を用います。一方で、The book written by him is easy to read. という文では、the book と write の関係性は、(he) writes the bookというV→O関係になっているので過去分詞を用います。「する、される」のようなアバウトな日本語訳で考えるのではなく、必ず、S→VやV→O関係を考えて判断するようにしてください。例えば、He left his car with the engine running. という文では、日本語のアバウトなイメージで考えてしまうと、エンジンは誰かにつけられるものだから過去分詞(Vp.p.)を用いてしまいそうになりますが、実際には、the engine runs「エンジンが走る(かかっている)」というS→V関係なので、現在分詞(Ving)を用いるわけです。

・分詞が作る形容詞句

e.g.) I know the girl walking along the street.(形容詞句walking along the street が名詞 the girlを修飾)

e.g.) The book written by him is easy to read.(形容詞句written by him が名詞 the bookを修飾)

e.g.) Dont’t leave the water running.(the water が目的語、running が補語の第五文型)→分詞は形容詞句を作るので、名詞を修飾するだけでなく補語(C)となることもできます。

e.g.) He sat on the chair with his eyes closed.(with+O+Cで付帯状況を表し、「OがCの状態で」という意味になる。ここでは、his eyes がOで、closedがC)→彼が目を閉じるんだから、closingじゃないかという人がいるかもしれませんが、きちんと関係性を考えましょう。his eyes と close の関係性は、(he) closes his eyes というV→O関係になるので、過去分詞を用いて、closedとするのが正しいとわかります。

・分詞が作る副詞句(分詞構文)

分詞構文の理解は読解においてとても重要です。そもそも分詞構文とは、分詞(現在分詞 / 過去分詞)を用いて、文をラフに接続し、Vや文の内容を修飾します。つまり、副詞句を作るということです。通常、文をつなぐ場合は接続詞を用いますが、分詞構文を使うとよりラフに、文を接続することができます。接続詞は文と文をつなぐ接着剤の役割をしますが、分詞構文はイメージ的にはクリップ留めです。なので、接続詞を用いるよりも気軽に、意味もアバウトに使うことができます。

e.g.) Walking along the street, I met his father.

この例文では、その道を歩いていた時〜・その道を歩いていたので〜・その道を歩いていると〜、など広く意味を取ることができます。分詞構文は、時・理由・譲歩・条件・付帯状況・結果など、文脈により様々な意味を取ることができます。これが分詞構文がもつ曖昧性です。ただし、曖昧なのが嫌だから、意味を明らかにしたい場合は、分詞の前に接続詞を添えることができます。例えば先ほどの文では、While walking along the street〜のようなカタチにすることができます。次に、重要なのが分詞構文の意味上の主語(分詞で表されていることの動作主)です。主節の主語と分詞構文の意味上の主語が一致する場合、分詞構文の意味上の主語は省略されます。先ほどの例文でいうと、主節の主語( I )と、分詞構文の意味上の主語が一致するので、( I )walking along the street〜と分詞構文の意味上の主語が省略されます。この考え方は、文法問題等で現在分詞と過去分詞のどちらを使用するかということにおいても重要です。例えば、(  )from the moon, the earth looks like a ball.「月から見ると、地球はボールのように見える。」という文の(  )に入る語を考える時、まず主節の主語を確認すると、the earthとなっているので、分詞構文の意味上の主語も、the earth となるとわかります。そうすると、the earthは見られる側であり、We see the earth というV→O関係が成り立つため、(  )にはいるのは過去分詞の seen が正しいとわかります。必ず主節の主語と分詞構文の意味上の主語の一致を確認しましょう。

★分詞構文出現パターン

・(Ving / Vp.p.) 〜,  S+Vー.

・〜,(Ving / Vp.p.),ー

・S+V〜,(Ving / Vp.p)ー

このうち、3つ目の文末に添えられた分詞構文は、結果「そして〜」か、付帯状況「〜ながら」の意味になる場合が多いです。例えば、The train left there at five, arriving here at seven.「その電車はそこを5時に出発して、そしてここに7時に着いた」という文は結果を表しています。分詞構文の意味上の主語は主節のSと一致するので、the train ということがわかります。ここでひとつ知っておいていただきたいのは、前文の内容を分詞構文の意味上のSとする文末分詞構文です。例えば、The boat was overturned by a big wave, resulting in the loss of the lives of three people.「そのボートが大きな波で転覆し、そして(そのことが)3人の命を失う結果をもたらした。」という文では、The boat was overturned by a big wave という前文全体が分詞構文の意味上の主語となっています。

★独立分詞構文

主節の主語と分詞構文の意味上の主語が一致しない場合は、分詞構文の意味上の主語を省略せずに、明記します。

e.g.) It being rainy, we should put off our plan.「雨が降っているので、私たちは計画を延期すべきだ。」この文では、主節の主語がwe、分詞構文の意味上の主語は、天気・天候を表すitで、一致しません。この場合、分詞構文の意味上の主語であるitは省略せず明記します。文法問題などで、beingの位置に空所補充をさせるものがあるので、独立分詞構文であることを見抜きましょう。

★分詞構文の否定

否定の意味を表したい場合、分詞の前にnotを添えます。

e.g.) Not knowing what to do, he asked his mother for advice.「何をすべきか

わからなかったので、彼は母親にアドバイスを求めた。」

★完了分詞構文

分詞で表されている句が主節より以前のことを表す場合、having+Vp.p.〜の完了分詞構文を用います。

e.g.) Having met him before, I could recognize him at once.「以前彼に会ったことがあったので、私は彼だとすぐにわかった。」

★準動詞関連重要事項

・動名詞のみを目的語にとる動詞

動名詞は「過去〜現在志向」→「すでに行った、今行っている」というニュアンスを表すものと結びつきます。

・不定詞のみを目的語にとる動詞

不定詞は「未来志向」→「まだ行っていない、これから行う」というニュアンスを表すものと結びつきます。

・動名詞も不定詞も目的語にとるが、意味に違いが出る動詞

これも動名詞は「過去〜現在志向」、不定詞は「未来志向」を表すという原則をもとに、表を確認して理解していきましょう。

★感情の動詞

多くの受験生に間違いが見られる箇所です。しっかりと理解しましょう。

e.g.) That game was exciting. ↔︎ I was excited to watch that game.

exciteは「〜をわくわく(興奮)させる」という意味の動詞です。従って、that game(あの試合)が私たちをわくわくさせた、という意味になります。そう考えると、that gameはわくわくさせる側なのでexcitingと、私はわくわくさせられる側なのでexcitedとします。

e.g.) The news was surprised. ↔︎ I was surprised to hear the news.

surpriseは「〜を驚かせる」という意味の動詞です。私は何もないのに、ひとりでにびっくりすることはありませんよね。私は何か外部的要因によってびっくりさせられる感情の受け手ということです。従って、「私はびっくりした。」という文は、I was surprised. とするのが正しいということになります。

以上で準動詞の説明は終了です。テキストに掲載されている残りの事項は、暗記事項となりますので目を通しておいてください。次回は、読解の際に重要となる比較文の読み取りを説明します。特に、noやnotを使った比較表現など、理解が曖昧な生徒は文法書等で予習をしてきてください。それでは引き続き、英語の基礎作りを頑張っていきましょう!

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